組み込み業界・企業/3つの課題と5つのポイント【志願者必見】

こんにちは、組み込みエンジニア歴20年のtomozoです。

 

今回は組み込み系の業界・企業について徹底紹介します。

 

  • 組み込み系への就職を目指す学生の方
  • 組み込み系への転職を考えている方

に向けた記事となります。

 

ちょうど就職や転職について、

  • 挑戦してみたい業界・仕事だから
  • 作ってみたいモノがある
  • 自分を正当に評価してもらえる所で働きたい

って考えているのではないでしょうか。

 

いずれの場合も、就職する前にしっかり調べて理解しておかないと

後で思っていたのと違うとなり本人も

採用した会社にも悲しい結果となります。

やりたい仕事ができれば、楽しく充実した毎日・人生を送れるようになりますよ。

 

私が新卒で就職活動した時は、得られる情報が

就職情報誌と会社説明会位しかなかったので今に比べると

大変な時代だったなと思います。

現在は情報に溢れているので、正しい情報を知ること重要です。

 

一回きりの人生、もし後悔するにしても何もやらずに後悔するより

やって後悔したいですよね。

 

この記事を読めば、

  • 組み込み系の各業界について
  • 組み込み業界にはどんな企業があるのか
  • 組み込み業界の3つの課題
  • 就職・転職時に注意する5つのポイント

が分かります。

 

それでは、現役エンジニアの視点を交えて組み込み業界について紹介していきます。

tomozo

この記事が一人の方にでも何かお役に立てれば嬉しいです

 

組み込み系には多様な業界・ジャンルがある

組み込み系と一言で言っても色々な業界・ジャンルがあり、

具体的に大きく分けると以下のようになります。

  • 家電
  • 自動車
  • AV機器
  • モバイルデバイス
  • 産業機器
  • その他機器

各業界を見ていきましょう。

家電業界

モノ作りといえば家電製品を真っ先に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

tomozo

私自身も学生の頃モノ作りをしたい・家電をやりたいと思っていました。今でも大きな電気屋さんに行くとワクワクしたり、テレビ番組の家電芸人の回を見るのが大好きです。

 

今の日本の家電業界は、アジアを中心に海外メーカーに押されて

逆境となっています。

しかし、日本メーカーの商品は海外のモノより高品質なものが多いので

日本製の家電製品・メーカーがすべて海外製に置き換わることはありません。

 

身の回りを見ても、まだまだ海外製より日本のメーカーのものを

使っているのではないでしょうか?

自動車業界

自動車 = 組み込み機器

ってイメージは沸かないかもしれませんが、

今の車は電子制御の塊です。

 

自動車には組み込み制御に必要なマイコン(マイクロコンピュータ) と呼ばれる

組込み型コンピュータが搭載されています。

組み込みではマイコンをCPUとも言ったりしますが、

特に自動車用はECUといって

高級車にはECUが100個以上組み込まれているそうです。

 

今後の成長が見込まれる

  • 自動運転技術
  • 電気自動車
  • ネットワークにつながるコネクティッドカー

によりハードウェアの進化とともにソフトウェアも

さらに進化・業界をけん引していくでしょう。

 

tomozo

熟成された業界と思っていましたが、これからの未来自動車がどうなっていくか楽しみですね

以下の記事で未来の車について紹介しています。

【エンジニア必見】2030年すべてが「加速」する世界に備えよ

AV機器業界

AV機器とは辞書によると以下のように説明されています。

 映像と音声とを同時に視聴できる電子機器の総称

 

テレビ・プロジェクター・音楽プレイヤーといったところです。

AV機器は家電と似たところがあるのでどちらもやっているというメーカーもあります。

 

音楽が好き、映像に興味があるっていうことでこの業界を

考える人も多いのではないでしょうか?

 

地上放送のデジタル化、

4K/8Kの映像

など技術の革新時に注目を浴びた業界です。

 

近い将来では

ARやVRの普及が進むと言われていています。

 

一定の需要が常にあり、なくなることもありません。

モバイルデバイス業界

モバイルデバイスといえばなんといってもスマホですね。

 

こちらの総務省の情報では、2010年頃ごろから急激に出荷台数が増え、

あっという間に頭打ちになっています。

ほぼ1人1台もっている状態ですね。

 

市場調査企業であるStrategy Analyticsによると

2021年の調査で世界のスマホシェア率は、

以下のようになっています。

1位 Samsung(韓国) 23%
2位 Apple(アメリカ) 17%
3位 Xiaomi(中国) 15%
4位 OPPO(中国) 11%
5位 vivo(中国) 11%

 

残念ながら日本の企業は入っていませんが、国内に限れば

ソニーやシャープのスマホユーザーもちらもら見かけます。

 

スマホに限らず、今後はAR/VR・5Gの普及でウェアラブル端末

などももっと一般的になってくると予想され、競争は激しいですが

伸びていく業界でしょう。

 

tomozo

世界的にみても今後の進化・成長が期待される業界です。

産業機器業界

一般の人は産業機器をほとんど目にしないので、

どんなものかイメージしにくいと思います。

 

工作機械などが産業機器にあたります。

 

産業機器業界はモノ作りを支える機器で重要な業界です。

 

モノが飽和している現在ではモノを作れば売れるという時代ではなく

いいモノは売れるがそうでないモノは売れないと二極化していて

売れないモノのほうが多いです。

 

また工場に目を向けると、人を減らし効率化を求め自動化・デジタル化・ロボット化が進んでいます。

スマートファクトリー、インダストリアル4.0、第4次産業革命って言われたりしています。

 

産業機器のIoT(Internet Of Things/モノのインターネット)化がどんどん進んでおり、

また3Dプリンターという新しい機器も普及・一般化してきています。

 

ただし、そういった新しい設備は高額なものが多いため、

体力のある会社でなければ導入できません。

 

今後どんどん成長する市場・業界とはいえないと考えます。

 

代表的な企業と組み込み製品

各業界の代表的な2、3社とそこで作られている組み込み製品について

どういった組み込み制御されているかを紹介します。

家電業界

代表的な企業としては、日立製作所 、パナソニック、三菱電機などがあります。

 

家電製品といえば洗濯機、冷蔵庫、炊飯器、掃除機、エアコンなど周りを見渡せば

日常生活に欠かせないモノがたくさんあります。

 

最近のモノは本当に機能が充実していて、

自動化・簡単操作・Iot化などが普通になっています。

tomozo

スマホと連動して何かできるなんていうのも一般的になっていますね。

 

組み込み制御としては、

  • モーターを回して何をする
  • 温度管理

などが中心となります。

自動車業界

代表的な企業は、トヨタ、ホンダ、日産など日本を代表する会社です。

 

組み込み制御機能としては

電動ミラー、キーレスエントリー、電動シートなど

多く実装されています。

 

組み込み機能モジュールとして一つ作ってしまえば、

数を作ったほうがコスト的に安くできるので

高級車で作ってから大衆車・軽自動車に展開するなど

共通設計したほうがよいという特徴があります。

 

例えば、電動ミラーを制御する電子回路基板と組み込みソフトウェアを

モジュール化すればAという車に付けようがBという車に付けようが

電動ミラーとして機能します。

AV機器業界

代表的な企業としては、ソニー、パナソニック、パイオニアなどが挙げられます。

 

製品としては、テレビ・カーナビ、プロジェクターなどがあります。

 

組み込み制御としては、ボタン操作で色々な機能を呼び出したりします。

画像処理や音声処理は他社との差別化を図るAV機器のコア技術となりますので

各社ノウハウが詰まったハードウェアやソフトウェアを持っています。

モバイルデバイス

スマホに注目すると、残念ながら日本のメーカーはほとんどありません

 

ソニーが若干生き残っていますが、

世界的にみるとシェアはほとんどありません。

 

製品としてはスマホやスマートウォッチなどがあります。

これらは組み込みといっても

物理的なハードウェアがほとんど持っていないのでパソコンに近いですね。

産業機器

代表的な企業としては、三菱重工業、小松製作所、IHIなどが挙げられます。

 

三菱重工業の製品紹介の産業機器を見てみましょう。

工作機械、大型冷凍機・エアコン、印刷機械、製鉄機械、化学プラント、試験装置、

農業機械など本当にたくさんの種類の機器がありますね。

 

産業機器の組み込み制御は家電などとは少し異なっています

産業機器は大規模・販売数で勝負する機器ではないので、

開発に時間と労力のかかる専用のハードウェア基板を作ったりせずに

PLCと呼ばれる汎用の制御ユニットコントローラー

で制御することが多いです。

 

また、

  • 産業機器で作ったモノを販売する
  • 産業機器が生み出すモノに価値がある

というビジネスが多いので

制御には高速性・安定性が特に求められるのも特徴です。

 

組み込み業界の3つの課題

組み込み業界には以下の3つの課題があると言われています。

  • IoTに手を出せない企業が多い
  • 「3K」イメージの払拭
  • 深刻な人手不足

一つずつみていきましょう。

IoTに手を出せない企業が多い

組み込み系は、WEB系やIT系に比べると

次々と新しいことが出てこない業界です。

 

そういった業界の体質のせいかIoTなどに手を出せない企業が多いというのは

あたっています。

 

なぜなら優秀な人材が豊富で資金力のある大手企業であれば

新しい技術・事業に挑戦することができますが、

人材・資金力で劣る大半の中小企業は大手企業の後に続いていくことが多いので

どうしても一歩遅れるからです。

 

また最近の優秀な人材は、組み込み系以外のソフトウェア開発職種を

目指すことが多くなっているので人が集まらないのも

要因の一つと考えられます。

「3K」イメージの払拭

「3K」とは最近あまり聞かない言葉なので若い人だと知らないかもしれませんが

きつい・汚い・危険の頭文字をとった言葉です。

 

現場で働く私からすると、昔に比べたら組み込み系職場環境は改善しています。

 

例えば、残業時間を見てみると

企業側はノー残業デーの導入などライフワークバランスを考えた

取り組みを行う会社も多くなっています。

 

昭和時代のエンジニアの先輩は、若い頃は毎日深夜まで仕事をしたなんて

武勇伝のように語りますが、今はそんなことをすると

若い人は続きませんし、労働基準法にも違反します。

 

法律で規制されると、経営者や管理職も順守しないといけないので

気にするようになっています。

 

しかし、エンジニア職は残業規制がまだまだ緩く

月の上限とされる45時間を超えることが多いのも実情です。

毎日定時で終わるエンジニアはおそらくいないと思います。

 

繁忙期や問題発生時は深夜まで残業になったりすることもあります。

 

残業なんてしたくないというのであれば、よく会社を調べないといけません。

深刻な人手不足

組み込みソフトウェアエンジニアは確実に人手不足です。

 

要因は以下のものです。

  • 働き方改革により労働時間の減少
  • 少子化
  • モノの複雑化による工数増

 

特に優秀な若いエンジニアは確実に減っています。

プログラマーは40歳が限界なんて言われますが、

40歳を超えても現場でバリバリプログラムを書いている

組み込みエンジニアはたくさんいます

 

現場志向のエンジニアにとっては一線で働けることはいいことですが、

経験が長くなるとマネジメントや後輩の教育なども任されるようになってきます。

 

それに加えて機器はIoT化など進化し組み込むことが確実に増えています。

作業工数は増えて、人は減っているという厳しい状況です。

 

組み込み系に就職・転職するときの5ポイント

組み込み系業界のエンジニアを志望する人に

意識してほしい5つのポイントを紹介します。

  • しっかり企業分析をする!
  • 自分はその業界・会社で何をするのか?
  • キャリアアップできるか?
  • 教育制度は整っているか?
  • 先輩社員をしっかり見る!

しっかり企業分析をする!

有名企業というだけで会社を選んではいけません

どの業界でどんな会社に就職すればやりたいことが達成できるか徹底的に調べましょう。

 

自分の知っている範囲だけで調べられることには限界があります。

ほかの人に聞いたりしましょう。

調べて徹底的に詳しくなれば、就職面接時に会社を選んだ理由をすらすらと

言えるようになり役に立ちますよ。

自分はその業界・会社で何をするのか?

学生の方は会社勤め経験がないので難しいと思いますが、

その会社に入って、本当に自分がやりたいことができるのか

OB・OGなど実際に働いている人と

接触して現場の声を聞いてイメージしてください。

 

やりたいことができる業界・会社であっても

会社固有の方針があります。

大企業の場合、長年一つのモジュール設計に特化

というようなこともあり、いろんなことに挑戦したい人には向いていません。

 

周りにいなければSNSやブログで発信している人に

コンタクトをとってみるのも一つです。

キャリアアップできるか?

特に転職する人に言えることですが、

その会社に転職して自分のキャリアアップにつながるか

考えるようにしましょう。

 

同じ会社でずっと同じような機器の組み込みだけをやっていると

その会社ではエキスパートになれますが、どこかで成長が鈍化しますし

他の会社で使えない・使いにくい人材になってしまいます。

 

新しいことに挑戦させてくれる環境であればいいですが、

そうでない場合は今の職場で学ぶことがない成長できないって感じたら

新しい職場に挑戦しキャリアアップを目指すべきです。

教育制度は整っているか?

中小企業の場合、教育制度が整っておらず、

過去の技術をずっと使い続けている場合があります。

 

そういった環境では自分で勉強していかなければならず、

新卒で就職した場合苦労します。

ぜひ説明会や面接の際にはそういった部分がどうなっているか

聞いてみましょう。

 

若い時の経験・成長は非常に重要です。

tomozo

教育制度が充実している会社を選びたいですね

先輩社員をしっかり見る!

先輩社員の働き方はしっかりと見ないといけません。

就職してみないと分からない部分も多いですが、

少なくてもリクルーターや就活担当者はいい面ばかりをアピールします。

 

実際にリクルートと関係のない一緒に働くかもしれない先輩社員と話できる

機会があれば積極的にコミュニケーションをとって

本当の姿を見ることが大事です。

 

また、夜に会社に行ってみて、

何時まで電気はついているのか見れば

残業が多いのかとか知ることもできます。

 

まとめ

組み込み系には多様な業界・ジャンル・会社がある

業界 企業 組み込み機器
家電 日立製作所 、パナソニック、三菱電機など 洗濯機、冷蔵庫、炊飯器、掃除機、エアコンなど
自動車 トヨタ、ホンダ、日産など 自動車
AV機器 ソニー、パナソニック、パイオニアなど テレビ・カーナビ、プロジェクターなど
モバイルデバイス 代表的な日本企業はほとんどない スマホやウェアラブル端末など
産業機器 三菱重工業、小松製作所、IHIなど 工作機械、製鉄機械、農業機械など

組み込み業界の3つの課題

  • IoTに手を出せない企業が多い
  • 「3K」イメージの払拭
  • 深刻な人手不足

組み込み系に就職・転職するときの5ポイント

  • しっかり企業分析をする!
  • 自分はその業界・会社で何をするのか?
  • キャリアアップできるか?
  • 教育制度は整っているか?
  • 先輩社員をしっかり見る!

 

以上、ボリュームが多くなりましたが、何か一つでも参考になれば幸いです。

仕事選びは人生を大きく左右します。

慎重になり過ぎてもいけませんが、しっかりと考えてください。

 

組み込み系について、こちらにまとめた記事もありますので

参考にしてみてください。

組み込み系とは?現役組み込みエンジニアが解説【学生・若手社会人向け】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA